顧客をファンにするためのCRM

先日、「水曜日のダウンタウン」で飲食店での「いつものやつ」2回目でも可能説。っていうのをやってました。これは、お笑い芸人が定食屋や焼肉店に初めての入店後、めちゃくちゃな印象を残して、後日2回目の入店で「いつものやつ」と頼んだら1回目で注文したメニューが届くのかを検証する内容です。

めちゃくちゃな内容ってのがミソで定食屋に行った野田クリスタルさんは唐揚げ定食を注文するんですが、唐揚げ定食とともに写真を撮ってもらうことを店員さんに依頼するとか、ななまがりの森下さんは優柔不断を印象付けるために、なぜか読売ジャイアンツの帽子に阪神タイガースのユニフォームを着て焼肉屋に入店。焼肉屋では優柔不断をアピールするために、メニューを見て時間をかけてようやく注文するなどして、良くも悪くも印象を残しているのです。

この「いつものやつ」の注文が通れば、お客様からすれば嬉しいですよね。そして、店側からすると何度も来店しているから「いつものやつ」を注文してくれるだと同じく嬉しいはず。これは、お店とお客様との強い関係が構築できてこそ。お店からしたらある種プレッシャーですが。しかし、ツールを作れば、そのプレッシャーを減らした上で顧客との関係を作ることができるのです。

そのツールとは、CRM(Customer Relationship Management、カスタマーリレーションシップマネジメント)です。

CRMとは

また横文字か、なんか難しそうだなと思われる方もいるかもしれませんが、これは日本語でいうならば、「顧客関係管理」です。CRMの機能は主に以下の機能となります。

  • 顧客管理
  • 顧客情報の解析
  • メール配信
  • イベント開催情報管理
  • SNS管理

上記の機能を行うことが、CRMです。

CRMはなぜ必要か

なぜCRMは必要なのでしょうか。「CRMは現代社会だからこそ必要」という記事をよく読みますが、確かに以前より必要性が増していると言えるでしょう。以前は、製品を作れば、または商品を仕入れれば売れる時代が確かにありました。その時代は、製品の種類が少ないがために顧客の少々のニーズは我慢していた、製品に顧客の方が合わせていた時代とも言えます。以前より高品質で、そして製品の品質は同じでも小型化、低価格化していれば良かったのです。

しかし、製品主義から顧客主義へと移り変わり、顧客のニーズを満たすことが売上を上げることの前提条件になっています。これに異論は無いでしょう。

しかし、物流技術やインターネットの発達によって、世界中の商品についての情報が入手できる、購入できる時代になり、消費者はメーカーの製品や小売店が取り扱う商品について比較が容易になりました。ニーズを満たした製品でなければ、消費者の他社への流出が簡単になってしまったのです。

そこで、1人1人それぞれの顧客にあったマーケティングを行う(俗にいうOne to Oneマーケティング)ことによって、顧客の維持を図る、新しい顧客を確保する手段が必要とされる手法が必要となり、考え出されたのがCRMです。CRMによって、顧客数の増加や顧客単価の最大化を目指すのです。

例えば、データベースに「雨の日に来店する顧客層は〇〇が多く、彼らが買う商品は△△である可能性が高い」というデータがあったとしましょう。そうすれば、雨の日を事前に天気予報で予測した上で、雨が降った際には、来店が多いとされる顧客層に向けて、〇〇を購入する広告を出す。さらには、〇〇と合わせ買いされやすい、もしくは〇〇と合わせ買いしてほしい商品の広告(テレビやラジコ広告だけではなく、メールマガジンやSNSでの発信も含む)を出すことで関連商品の販売にもつなげることができます。

そして、商品購入後に「使い方や不具合に関する問い合わせメールを送付する」、来店後に「再来店促進のメールを出す」などを行えば、顧客の記憶の自社を留めることができます。

広告を打つ、メールマガジンやSNSを発信するというのは内容も大事ですが、タイミングも大事。メールマガジンをどの登録者がいつ開いたかがわかれば、顧客層に合わせてメール発信のタイミングを最適化するように調整することができます。また、ITシステムを導入すれば時間設定を行った上で自動的に送付ができます。

その他にもメリットはあります。それは、どの従業員でも均一のサービスを提供できること。もちろん人あたりの良さは、どうしても差が出てしまいますが、データベースとして「この顧客は普段何を求め、いつ来て、何を買うか」、それがわかっており、常に全ての従業員が把握できていれば、当該顧客がきた際にどの従業員でも顧客に合わせた応対が可能となります。

これは、顧客の「今日はあの人いないんですか?(=あの人に対応してほしい)」の発言を避けることができます。もちろん完全では無いですが、「あの人」以外も自分をわかっているという安心感を与えられるので、結果的に顧客満足度を高めます。

顧客主義がわかる例

気づけば、このCRMという考え方自体は目新しいものではなく、以前からあったものです。

例えば飲食店。小料理屋で考えてみると、常連の方が好きな魚や酒が手に入った。一見さんには提供せずに、普段からご愛顧している方に提供する。しかし、その魚や酒は癖が強いので、この味が好きな常連さんだけに情報提供して来店時に召し上がっていただく。常連さんの名前や頼んだメニューは詳細にメモ帳に記している。

スポーツ用品店。運動靴を定期的に買い換える顧客(陸上部やサッカー部などに所属しているとしましょう)がいて、その顧客は「頑丈さより軽さ」を商品選びの基準にしている。そこで頑丈な商品ではなく、軽さを重視した新商品が出たら購入を進めるようにしている。購入後のレビューを伺うことで商品の特性や使用感を把握、同様のニーズがあった場合に情報提供できるようにしている。ちなみに、顧客が行っているスポーツ、脚の形状、過去に選んだ商品の製品名や特徴、メーカー名はデータベースにて管理している。

これは有名な実例。DELL社というアメリカのPC製造小売メーカー。従来の販売手法は、1種類の端末を販売していれば売れたものの、「もっと保存要領がほしい」、「メモリがほしい」、「スペックはいらないから軽くして欲しい」などと顧客のニーズが細分化していることがわかった。そこで、DELL社はBuilt To Orderという手法を考案して、顧客が欲しいスペックを組み合わせた上で注文できるようにした。これにより、スペックはもちろん、価格感に関しても顧客の満足度を高めることができた。

これこそまさに顧客主義に基づいた経営手法ですよね。CRMを端的に表した例と言えます。

飲食店やスポーツ用品店の例は古くからの例ですが、現状ではさらなる効率的なCRM実現のためにソフトウェアの利用が一般的かつ最も効果的といえます。

CRMを導入する際に覚悟しておくこと

CRMで覚悟すべきことを記載します。

まず、CRMは長期的なスパンで効果を得られるものです。逆に言えば、効果が出るまで時間がかかるのです。それは、効果が見えるまでに人的、金銭的コストも必要になることを意味します。

それと同時に効率よく進めなければ、「無駄だった」ということにもなりかねません。効果的に顧客情報を集めて分析して、顧客ごとの施策を実施していく必要があります。そこで、CRMをITと結びつけ実施するのが、今はビジネスの常識であり、使用法やセキュリティなども含め、CRMのサポートを提供するITシステム会社に相談するのが良いかと思われます。

CRMは時間がかかりますが、仮説を立てて実験できるほどの一定以上のデータを集められれば、効率的な経営を行えます。効率的な経営とは適材適所に人員を配置、広告を打つことができる、さらには売れ筋の商品への集中投資、ニーズを踏まえた新規商品の開発、不採算部門やエリアからの撤退の判断が容易などです。

まだCRMを実施していない事業者の方は、最初から莫大なコストをかける必要はなく、まずは常連客がいつ来るか、何を買うか、買った後店にどのような感想や不満を述べるかなどをメモすることから始めれば良いのです。そして、徐々に年齢層や単価、来店日時や頻度などを分解、分析して商品購入のためのアプローチを進めていくことで不確実性を減らすことができます。

CRMは長期的なスパンを必要とする以上、人も金もコストがかかるので大企業が有利かと思いますが、小規模や中規模企業ならではも顧客との心理的近さを生かせれば、有効なCRMを行えます。

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