起業や新規事業計画に必須!のCVP分析

中小企業診断士の鈴木です(@Taiki__Suzuki)。コロナウイルス影響下で、従来の対面式の販売がしづらくなった昨今、非対面(インターネット販売やデリバリー、テイクアウト、有料動画配信など)の販売を行いたい事業者の方は増えました。それは、まさに「新規事業」です。

そして、コロナ以前より、創業したい人にとってつまずきやすいのが、創業時の売上、原価、利益の計画。1か月あたりどれくらい売り上げられるのだろう、どれほど費用がかかるのだろう。それらを想定して、計画を作ってみたはいいけれど、開業してみたら、見通しが甘くて想定通りの売上や利益に達しなかったというのはよくある話(数年したら想定した利益が出てきたってのはある話です)。創業も新規事業も想定どおりいかないケースが多々あります。

そこで、新規事業計画や創業において役立つ分析を今回は説明します。

CVP分析をね。

CVP分析とは

CVP分析とは、

  • Cost:費用
  • Volume:量
  • Profit:利益

これらを算出する分析のことですね。

CVP分析をすることによって、損益分岐点がわかります。損益分岐点とは、利益や損失も生じない売上額のことです。言い換えれば、「費用がこれくらいかかるなら、少なくとも損失額が0になる売上額がいくらか」がわかります。極端な例ですが、費用が100万円かかる場合、利益が0、損失も0にするためには売上はいくらにすべきでしょうか。

もちろん100万円ですよね。この100万円が損益分岐点の売上です。

これを応用すれば、「コストがXX円だとして、利益額をYY円にしたいので、売上額はXX円にすれば良い」などと計算することができるのです。

後ほど実例をカフェで説明しましょう。ほんとに、後ほど。

CVP分析のために損益分岐点を知る

それでは、CVP分析をやってみましょう。

この分析以前に、そもそも経営と言うのはまず売上があって、売上を生み出すための原材料などの原価があります。原価は商品開発やサービス提供に直接要した費用なので、売上に比例します。比例するというのは、その名の通り売り上げによって変動する(増減する)ので「変動費」と言います。

売上から原価を引いたものが売上総利益になります。さらに売上総利益から、役員報酬や給与、賞与、広告宣伝費、家賃、水道光熱費、消耗品費など売上の増減に関係なく要する費用、会社を維持するためにかかる費用、これを「固定費」と呼びます。別名、「販売費及び一般管理費」です。

利益は、売上から費用を除いて残ったものなので、

売上-変動費-固定費=利益となります。

なお、売上から変動費を除いたものを限界利益とも呼びます。限界ってなんだろう。

ということは、限界利益-固定費=利益(最終的な)となります。ってことは、先ほど記載した利益が0になる状態(限界利益-固定費=0)というのは、限界利益=固定費になるってことですよね。

例えば、売上が100万円、原価が40万、固定費が60万円としましょう。限界利益は60万円(限界利益率は、60/100なので60%)で、さらに固定費60万円を除いたら、利益は0です。手元に1円たりともお金が残らない状況です。まさに損益がない状態です。100万円は損益分岐点売上となります。

このような限界利益と固定費が一致する状態、「限界利益=固定費」は売上×限界利益率=固定費となり、ってことはですよ、

損益分岐点売上=固定費/限界利益率

となるのです。

先ほどの例で見ていくと、固定費60万円/限界利益率60%=損益分岐点売上100万円となるのです。まさに公式どおり。ここで、重要なことは、固定費を正確に積み上げることと、限界利益率をできるだけ実態に沿った形で計算することです。それがなぜ重要なのか。

創業や新規事業計画時に役立つ

創業というのはスタートアップにしろスモールビジネスにしろ初期投資はそれなりに必要となり、リスクは伴います。目論んでいた売上が実現できるかどうか不安になるものです。

新規事業も同様です。企業としては、命運がかかっていると言っても過言では無いプロジェクトなのです。これでコケて企業が…なんてこともあり得ます。

その不確実性をなくすために、CVP分析は役に立ちます。それはコストの大きさを知ることを優先に計画を立てるからです。コストを算定することで、どれだけの売上を生み出せば目標利益額が出るのかを知れるのです。

その際に重要なことは、必要となるコストを正しく計算すること。コストの積み上げに漏れがあった場合、いざ開業したら予期せぬ費用が発生して赤字になってしまったということにもなりかねません。

逆に実際は必要としていなかったコストを積み上げてしまった場合も危険です。例えば広告宣伝費を必要以上にかけてしまった、良い立地の物件を優先するあまりに高額な家賃になってしまった場合。赤字回避のためにそれだけ多くの売上を生み出さなければなりません。ということは、多くの原価(原材料や商品)の仕入れを行わなければならず、当然仕入れというのは売上発生前に必要となる経費ですから、売上前のリスクは高くなる一方です。

創業や新規事業計画の基本は、最初は必要最小限度額で始めることが基本です。それはリスクを抑えるためです。それと同時に、必要な経費は必要なものとして計上する必要があるので、コストを過不足なく積み上げる見極めは慎重にすべきです。

CVP分析やってみようよ

CVP分析を活用して、損益分岐点売上高を求めてみましょう。

【問題】

200円で販売する商品を50円で仕入れ、販売するために必要とする広告宣伝費や家賃、水道光熱費等の固定費を月30万円(300,000)とします。この場合の損益分岐点売上高を求めてみましょう。

まず利益がでるのは、売上高-売上原価-固定費の結果、残った額です。売上高-売上原価=限界利益となるので、限界利益-固定費=利益と変換できます。

さらに限界利益は、売上高-売上原価、言い換えれば(売上単価×数量)-(仕入単価×数量)なので、問題文には数量が書いていないので、数量(個)をxとします。そうすると、(売上単価×x)-(仕入単価×x)、変換して(売上単価-仕入単価)×xとなるので、ようやくここで問題文の単価を入力できます。

ってことで、(200-50)xとなり、つまり限界利益は現状では150xとなります。

そこで、150x-300,000=利益となります。損益分岐点売上は利益も損失もでない売上なので、150x-300,000=0の状態、つまり150x=300,000、そう、限界利益=固定費ですね。そこで、x=2,000(個)ですね。

最後に、200×2,000=400,000(円)となり、損益分岐点売上高は40万だとわかります。注意点、というかひっかけというかよく考えればわかるのですが、150×2,000=300,000(円)はあくまで限界利益額なので、ここは一呼吸おいてくださいね。

費用を把握して売上を考える

冒頭で、カフェを例に説明しますと言いましたが、ここで。

カフェを開業しようと思ったAさん(男性)。初期投資が必要で、自己資金だけでは賄いきれないので、銀行に融資の相談にいくことになりました。事前に電話したところ銀行の担当者から創業計画書を作成するように言われ、銀行のホームページからダウンロードして売上や経費を入力することになりました。

なんとか作成して、計画書を持参してAさんは銀行に。計画書を見せると、担当者から「こんなに売上いきますか?」と言われました。毎月の仕入額や家賃、広告宣伝費、水道光熱水費、修繕費、クレジットカードの手数料、通信費がウン十万になるので、それを上回る金額を売上額として計上しました。確かに、売上高はあくまで固定費を上回る額を書いただけなので、根拠としては弱い、というかない。それに加えて、物件として考えていたのが、東京の渋谷駅と原宿駅の間。都内でも商業地としては5本の指に入る人気エリア。かなりの高額になることを想定していました。

Aさんは、銀行の担当者の方から売上高の算定方法(一般的には「座席数×回転数×客単価×営業日数」です)を聞き、さらにそれを踏まえた上で家賃も安いところを選び、渋谷から私鉄に乗り数駅の学生街に変更となりました。

っていう妄想をしてみました。

これを踏まえると、やはりコストは最小で計算する。その一方でちゃんと市場性がある場所で開業する必要もあり、そこはバランス感覚と商品やサービスの独自性や魅力が求められているのだと思います。

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